アカデミックインタビュー

専門的な知識や研究内容ではなく、広く学びに携わる・携わった「人」に焦点を当て、どのような経緯を経て今に至るかといったことを探る記事カテゴリー、それが「アカデミックインタビュー」!

第6回は、修士課程にて科学技術メディア論の研究を行っている小幡哲士さんに

  • 研究分野の科学技術メディア論
  • 科学コミュニケーションの一環であるサイエンスあそびテーター
  • 研究に至った経緯・背景

などについてお聞きしていきます。

Profile

小幡哲士さん

専門分野:科学技術メディア論
研究方法:計量テキスト分析
得意なこと:科学実験を創ること・魅せること
実績:サイエンスショー・科学イベント・科学実験教室約100会場200イベントにおける企画運営、理科の自由研究の参考書籍執筆

科学技術メディア論とは―科学技術社会論と科学コミュニケーションの間で

こんにちは!東大にて物理を専攻としながら一般向けのさまざまな科学実験を披露してきた小幡さんですが、現在は修士課程にて科学技術メディア論の研究を行っていると聞きます。どのようなお話が飛び出すか楽しみです。よろしくお願い致します!
小幡
はい、よろしくお願いします!
では早速。「科学技術メディア論」とはどのようなものなのかお聞かせください。
小幡
まず、「メディア論」について説明していきますね。メディアではコミュニケーションがなされています。「コミュニケーション」って基本的に発信者と受信者がいるわけです。例えば、僕が今話している内容はインターネットを通して、皆さんに届けられています。ということは、僕が発信者となってどこかの誰かである受信者がメッセージを受け取り、その間にはメディア、つまり「媒介」があるということになります。
まさにこのインタビューのやり取りが「メディア」を介してコミュニケーションがやり取りされているということですね!
小幡
その通りです!そのメディア上のコミュニケーションについて研究するのが、メディア論研究です。
メディア論の中で、とりわけ科学技術メディア論を研究なさっているということですが、こちらの内容はどのようなものになるのでしょうか?
小幡
科学技術メディア論では、科学技術に関するコミュニケーションを扱います。
科学社会論や科学コミュニケーションといった分野は見聞きしたことがあります。どのような関係がそれぞれあるのでしょうか?
小幡
科学技術社会論は科学技術と政治や文化・社会との関係を探求することに重点がありますが、科学コミュニケーションでは主に一般の方を対象として対話をすることを重点においているものですよね。科学技術メディア論では、科学技術社会論と科学コミュニケーションの中間にあるようなものを扱います
なるほど。具体的にはどのようなものを対象とした分析を小幡さんはしているのでしょうか?
小幡
毎日の生活の中でも、人工衛星の打ち上げとか、ノーベル賞とか、メディア上でも話題になる科学技術に関するイベントや話題ってちょくちょくありますよね。そうした科学技術の話題に焦点を当てて、一般の人々がどのようにその話題を捉えているのか、データを通じて見てみることをやっています。科学に対して人々が持っているイメージを可視化できればと思っています。
メディアというと、ソーシャルメディアも扱ったりするんでしょうか?
小幡
そうですね、一方向的なものでなく、双方向のコミュニケーションとして何がなされているのかに注目したいので、ソーシャルメディアも扱います。ただ、普通の人はなかなか科学に関する情報発信をしないので難しい側面もあるんですけどね…
確かに難しそうですね…
小幡
人工知能(AI)、ビッグデータ、遺伝子技術、擬似科学食品など生活に身近なところでも、科学技術の話題は沢山あります。一般の人々の持つ科学に対するイメージを抽出できればと思いながら研究に励んでいるところです。

サイエンスあそびテーターとしての活動

小幡さんは研究だけでなく、本当に数多くの科学イベントを行っていますよね。
小幡
はい、自己紹介は、「サイエンスショー・科学イベント・科学実験教室約100会場200イベントの企画運営行う」です(笑)
すごい数ですよね…サイエンスあそびテーターと名乗るだけにふさわしい活動だなと思いました。本当に楽しんでいないとこれだけの数をこなすことができないと思うんです。どれくらい活動なさってきたのでしょうか?
小幡
活動は高校生の頃から行ってきたので、約8年くらいになります。
やはり、幼いころからよく実験をしていたんでしょうか?
小幡
それが僕の場合は高校生からなんです(笑)高校生の時に、近くに研究所がありまして。その研究所が行う科学イベントの前座としてショーをしていたのですが、観客の方から「わーすごーい!」みたいな歓声があがるんです。それも、自分で勉強してきた「科学で」ですよ!それが楽しくって!そこからハマってしまい、気づけば8年も科学ショーをやるようになっていました。
きっかけは高校生の時の科学ショーだったんですね。もっと早くからやってきたのかと思っていました。
小幡
科学ショーをするサークル仲間は昔からやっていることが多いみたいです。僕は高校生からだったので、年がら年中「なにか新しい実験はないかな?」なんて探しています(笑)
科学実験の話しをしている時はすごい楽しそうですもんね(笑)
小幡
とりあえず何かにレーザーを当ててみるとかして楽しんでます!

大学院に進学した理由―社会科学的な面白みの発見

お話を聞く限り、どちらかと言えば実践的な活動に従事しているように見えるのですがどうして大学院に進学しようと思ったのでしょうか?
小幡
先ほども紹介したように、実践的な活動はそれなりにやってきたんですね。活動を続けていくに当たって、自分のやってきた活動に理論付けをしたいと思うようになりました。実践だけじゃなく、理論としても力を付けれれば最強だなと。
なるほど、実践的な活動をこなすことで、研究への目線も生まれていったんですね!
小幡
それに、いわゆる社会科学的な面白みというものに気付いたことも理由の一つです。もともと、「なんで?」と理由を追求することが好きでした。その問いの答えはだいたい科学的なものとして答えられることから、数学や科学が好きだったんですね。ですが、身の回りに起きているような社会の複雑な問題は、科学だけでは答えきれないと思うようになっていきました。また、科学的に導き出された1つの答えは、誰にとっても正しいものとは限りません。「誰にとっての正しさ」なのかということを追求するような社会科学的な学問の面白みや意義に目が向くようになっていったんです。
科学というハードの部分だけでなく、扱い方といったソフトの部分も重視するようになったということでしょうか?
小幡
そうですね。昔はあまり好きではなかったんですけどね(笑)
どうしてあまり好きではなかったんですか?
小幡
社会の方が覚えなきゃいけないことも多く、複雑で長い説明が続くので敬遠しがちだったんですよ。
よく言われるような感覚を持っていた時期もあったんですね!
小幡
今ではむしろ、そこまで突き詰めてみないと分からないと思って勉強に励んでいるところです。

高校生や大学生といった読者への一言

これから科学や社会との関係を考えていきたいと思う高校生や大学生にメッセージはありますでしょうか?
小幡
そうですね、なんでも「とりあえずやってみる」といいんじゃないかと思います。やりたいと思っても、一人で出来ることには限界があるんですが、とりあえずやってみる中で声を大きくすれば、いろんな人が手助けしてくれたり、一緒に活動してくれたりすると思うんですよ。僕なんかもイベントの企画はそんな風に、まずはやってみる精神で活動を始めることもよくあるんです。
まず動いてみると失敗もする分、成長できますもんね。失敗するのはちょっと怖いですが(笑)
小幡
僕の座右の銘として「co-revolution」というものがあります。できないことがあってもコラボすれば、だいぶ解決できるんですね。
まさにこの『Share Study』もそのような理念もと運営しているサイトになります。一人では届かない領域があるからこそ、協同が生まれますよね。
小幡
コラボをするってことは、物事の切り口やそれぞれの持っている武器をどのように接合し友好的に使うかってことがすごく重要です。切り口を見るということは、物事の多面的な側面を知るということでもあるんですね
それは面白い考え方ですね!
小幡
好きなものが持ついろんな側面を知る一方で、嫌なものも見えてくると思うんです。だけど、さまざまな物事の側面を知ることによって、最終的に自分の本当に好きなものを見定めることに役立つはずです。
まずはやってみる精神を大事にしたいですね!今日はありがとうございました!

おすすめの本

1冊目は科学と技術の接点の様子について事例がまとめてある科学技術社会論の教科書。2冊目はサイエンスコミュニケーション(対話型コミュニケーション)の背景と必要性がよく分かる本です。3冊目は科学自体を見つめるという点においては古典的な名著として語り継がれるものを紹介します!

インタビューを終えて

一般向けの科学ショーを数多くこなす中、科学だけでなく社会との関係性にも視野を広げていった小幡哲士さん。

「なんでだろう?」という疑問を突き詰めていった先には、科学だけではなく社会との関係性についても深めていくようになったとのことでした。

今では科学技術というものが当たり前かのように溢れていますが、そもそも科学とはいったい如何なるものなのでしょうか?そうした疑問を抱いた先には、科学技術社会論や科学メディア論に科学コミュニケーションというアカデミックな”セカイ”が広がっています。

気になった方は、「とりあえずやってみる精神」で追求していくことがおすすめです!

実践的に活動しながらも、理論的な側面にも目を向けるような小幡さんの姿勢を見習いたいと思うインタビューでした。

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ABOUTこの記事をかいた人

としちる

Share Study代表。日本サッカー協会に所属するコーチを目指して筑波大学体育専門学群を目指すも、受験前に父親が逃亡して宅浪生活2年間を送った後、国際総合学類に入学。タイにて日本語指導と留学も経験。専攻は社会言語学、専門は言説分析。運営サイトは4つ、記事執筆数は250以上、イベント運営に携わった数は50以上(17年8月現在)。「教養」をテーマに活動しています。