学問には基本的な考え方というものがだいたい定まっています。
そうした考え方の根本を理解しておくと、その学問が何を言いたいのかがわかりやすくなるのでその超基本をサラッと紹介しましょう!
国際関係論・国際政治学における基本的な考え方
細かな専門用語は置いといて、国際関係論・国際政治学の根本となる考え方は以下の5項目になります。
- アナーキー(無政府状態)
- バランス・オブ・パワー(勢力均衡)
- 比較優位
- 「人」は間違いを起こすこと
- 環境に左右されること(社会構成)
①アナーキー(無政府状態)
国際政治においては国内政治とは違って、誰かが統治しているわけではありません。
基本的には国内で起きたことには警察だとか法律だとかが対処してくれますが、誰もそのような人がいない国際社会というは無政府状態として英語では「アナーキー」と呼ばれています。
そんな中でどうやって自分たちの安全を守るのか?対処するのか?
ということがポイントになります。
②バランス・オブ・パワー(勢力均衡)
これはどの国が強くて、どの国が中くらいで、どの国が弱いのかといった、勢力(軍事力や資金力)がどうやってバランス(均衡)を保っているかということです。
もし強い国が力を持ち過ぎたら、弱い国に対して戦争をしかけていくかもしれません。
そうした関係を理解することで、どのように「無政府状態」の中で行動すべきなのかということがわかってきたりします。
③比較優位
比較優位とは経済用語で、どの国がある物に対する生産が高く、別のある物では低いのかという比較した際の優劣を表す言葉です。
例えば、以下のような2つの国があります。
A国:りんごの生産が得意だがみかんはさっぱり
B国:りんごの生産はさっぱりだがみかんは得意
これら2つの国がお互いにwin-winの関係(両者とも得をする関係)を築くには、A国がりんごの生産を頑張ってB国に輸出し、B国はみかんの生産を頑張ってA国に輸出するのが良いですよね!
この例はとても単純な例ですが、こうした関係がどのように実際の国々で起きているのか・するべきなのか、ということを理解することは国際関係を理解する上で重要なことです。
④「人」は間違いを犯すこと
これは要するに、人は愚かで間違いをするものだということです。
国際政治とはいえ、実際にその政治を行うのは「人」です。
国家を代表するようなリーダーとはいえ、そのリーダーを支える多くの人がいたとしても、それでも間違いはあるのだということを国際関係を学ぶ上ではよく知っておく必要があります。
というのも国際関係論を学ぶ上でいろいろな歴史の勉強もするかと思うのですが、多くの国々が様々な時代でこの間違いを起こしています。
⑤環境に左右されること(社会構成)
ざっくり言うと、人は環境によって左右されてしまうので、そのことを考慮に入れて国際関係をみていく必要があるというのが社会構成の意味するところです。
例えば昔は奴隷制が当たり前だった時代もあるし、今ではゲイやレズの結婚というのも社会的に認められる傾向にあります。
こうしたグローバルに広がる社会の流れというものを理解するために、人の行動や発言は社会によって構成されている側面があることを知る必要があります。
国際関係論・国際政治学における基本的な考え方のまとめ
当然、これらの5項目は最低限の内容でまだまだ知るべき専門用語などたくさんあります。
ですが、ただ専門用語を覚えていくよりも、その学問を根本づける「考え方」を押さえておけばもっとずっと楽に吸収していけるはずです。
この記事はハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授が卒業する学生に向けて書いた記事((How to Get a B.A. in International Relations in 5 minutes.))を日本語で要約として紹介してくれた記事((たった5分で国際関係論を習得する方法))をさらにかみくだいた表現でまとめたものです。
さらに詳しく知りたいという方はぜひリンク先の記事で確認し、いろんな書籍も読んでみてください!
また、国際政治学に関して研究なさっている方のインタビューがこちらです。なぜ国際政治学の研究、とりわけ言説分析に取り組むようになったのか、研究に至る背景をお聞きしました。