学問を題材に、沈黙されていることがらを語り起こしていく教養系のラジオ。「Share Study」を立ち上げたとしちるがパーソナリティとなり、毎月ゲストを迎えて二つのキーワードをもとに語り、学び合います。
第4回目となるStudy Talkのテーマは「政治×テクノロジー」!今回のゲストは18年10月現在、電子政府国家への転換にあたって注目を浴びる北欧のバルト三国の一国、エストニアのタリン工科大学電子政府学科(修士)で勉学に励む神長広樹です。
何を隠そう、神長広樹こと、通称「かみちょん」はパーソナリティであるとしちるの大学学部時代の同期生です。今回、かみちょんから「打ち合わせ無しで収録しよう!」との掛け声から、生身で語り合ったことから、収録時間も1時間を超えるものとなりました。
vol. 4-1では「エストニア現地で暮らして考える電子政府事情」、vol.4-2では「ぶつかり合い、練磨し合うコミュニケーション」を副題にラジオを公開しております!
僕らが所属していた「筑波大学国際総合学類」の話から始まり、エストニアにおける電子政府と社会的な関係について前半は語り、後半では「“Study”の“Talk”をちゃんとしていかなければならない」、つまり建設的な批判を行えるコミュニケーションをすることの重要性について語り合う展開となりました。
後半に進むほどボルテージが上がった話が展開されておりますので、ぜひピックアップした部分からお聞きください!
ラジオ本編:「政治×テクノロジー」がテーマのStudy Talk
収録後記
vol. 4-2冒頭、「Study Talkを三回収録してきて、もっとバチバチやっていいなって思ってきてる」と僕は語りました。三回収録してきた内容の中に必ずしも「批判」がないわけではありませんが、打ち合わせして収録するにあたってやや予定調和の展開になりやすい、ということを感じていたからです。
教養系ラジオStudy Talk vol.1~vol.3──うなずき合いと訣れて語り合いを紡ぐ今回、かみちょんから「打ち合わせなし」という呼びかけがあった際、学部生の頃からことばを交わしてきた者同士で、「おっ、察知したかな?」と正直思っていました。結果的に、後半になるにつれてお互いにボルテージをあげて「現代社会」を取り巻く議論のあり方に関しての問題意識が浮き彫り立つものになったと感じています。
情報があふれる中、僕らが話しあったのは情報を読み解いていくためにもまずは「問いを持つこと」であり、そして問いと答えは「先行研究」として積み重ねられてきているということです。さらに「問いと行為を磨く」ことを先鋭的に磨くことができるのは大学という環境(メディア)であり、だからこそShare Studyでは「大学(universitas:組合、人の集合)」を視野に入れて、学術的なコミュニケーションのあり方を高校生から大学生をも射程に入れて、ある意味では「まじめにふまじめに」コミュニケーションをつむぐことを狙った運営をしています。
Share Studyが目標として掲げる「学び合いの文化を熟成する」ということは一朝一夕に行えるようなものではありません。Study Talkも一つひとつは大きな流れを生み出すパワーも少ないかもしれませんが、小さな積み重ねをWebならではの利点を活かして、ネットワーク化とアーカイブ化を施し、<声>として実際に語り合う様を続けることを狙ってラジオを公開しています。
実は、Share Studyを立ち上げた2016年当初、今回ゲストとして参加したかみちょんは、「Wikipediaとなにが違うのだ」とケンカに近いチャットでのやり取りを僕としていました。まだサイトとして出来上がってない段階で説明することが難しかったのですが、こうして振り返ると、形となって「Share Study」としての機能や目標がその当時に比べたら可視化され、そして今こうして批判をした者と「Study Talk」を紡げたことには、一運営者としての小さな一歩だと感じています。
vol. 4-2の「19:30」で以下のことを僕は切り出しました。
僕らは大学院生で研究者としてのレベルは低いんだよね。だから、あーだこーだここで言ってもしょうがない側面もある。ただ、議論していくための”問”を持たないといけないし、どう引き継ぎつつ、向き合うのか、といったプロセスを”今ここ”でしていかないといけない。
単に二項対立で終わらすような議論にするでもなく、ぞれぞれの視点を共有する中で弁証法的に議論を「深化」させ、過去からの連続性を引き継ぎつつ、これからを考える、動いていくことが重要でしょう。
議論を深化させるには相手の視点や論理を理解する必要があります。単に自分の主張を押し通すことは建設的な議論にはなりえません。
Share Studyが「これまでを学び、これからの大学を考える」ACADEMIC CAMPを終え、動き出した「人と知のネットワーク化」を目指したプロジェクト「Share Studies」では、そんな対話的かつ批判的コミュニケーションをより紡げるような運営を目指しています。しかし、あくまでも中心にあるのは、学術的な専門知ではなく「人」です。人は時に間違えるものです。ですが、そんな間違いから、思わぬ可能性を切り開いていくこともあると思うのです。
今回、筑波大学の「国際総合学類」というお互いの出自から、やや慣れ親しんだトークではあったと思いますが、下手に手を抜くようなものではなかったと思っています。まだまだ未熟者ではありますが、これからと言わず、今日も、”今”も、学びを積み重ねています。
Study Talkはここまで『note』を介して公開してきましたが、この本サイトに集約していく予定です!まだまだトークは終わらない!
これからも乞うご期待ください!