Study Talkとは
学問を題材に、沈黙されていることがらを語り起こしていく教養系のラジオ。「Share Study」を立ち上げたとしちるがパーソナリティとなり、毎月ゲストを迎えて二つのキーワードをもとに語り、学び合います。
キーワード
科学×ものづくり
トークテーマ
ものづくりのモチベーションとその苦悩
概要
Study Talk vol.9のゲストは、総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科加速器科学専攻の博士後期課程に所属するゆーみるしーさんです。大学院生として研究を行う傍ら、サイエンスコミュニケーション活動や「科学」を題材にしたものづくりを行っているのがゆーみるしーさんです。
多岐にわたる活動を行うゆーみるしーさんは、興味関心の赴くままに人と接していくうちに創作意欲が湧き上がると語ります。そんな取り組みを続けてこれているのも、周りに助けてもらいながら過ごしているそうです。
最近、特に学びと驚きを得た「手話」との出会いから、2020年2月15日に『みんなの学会』と題して「分野と障害の垣根を越えた」研究発表会と手話パフォーマンスを企画しています(関連:つくばに手話パフォーマンスを呼んで、手話と科学を繋ぎたい!)。どん欲に活動を続けるゆーみるしーさんにその「モチベーション」と「苦悩」についてお聞きします。
番組

スピーカー
◯としちる
日本サッカー協会に所属するコーチを目指して筑波大学体育専門学群を目指すも、宅浪生活2年間を送った後、国際総合学類に入学。タイにて日本語指導と留学も経験。専攻は言語人類学、専門はディスコース研究。全国47都道府県をめぐり、「これからの大学(学問×地域×教育)を考えるACADEMIC CAMP!」を主催。運営サイトは4つ、記事執筆数は250以上、「教養」をテーマに活動しています。
◯ゆーみるしー
栃木県小山市出身。上智大学理工学部物質生命理工学科卒業。総合研究大学院大学高エネルギー 加速器科学研究科素粒子原子核専攻在学中。専門は素粒子実験のための測定器の開発と物理 シ ミュレーション。研究に関わる実験教室や広報活動をこれまでに30回以上実施。中学・高校理科教職免許第 1種取得。物理アクセサリー「粒や」店長。手話勉強中。趣味はカメラ、マラソン、ギター、歌うこと。
ピックアップ場面
05:10:質問1「仕事・専門にしていることはなんですか?」
目に見えない非常にミクロな領域から宇宙について解明しようとする素粒子物理を専門に大学院生として研究に携わっている。その研究のためには必要な巨大な科学施設が必要で、その施設の意義や内容を話し合う活動も行っている。夏休みには子ども向けの科学実験教室を開くお手伝いなども 依頼を受けて行っている。 科学について実験する、話すだけに飽き足らず、自作の科学グッズを作成して最近では販売まで行っている。
10:19:質問2「自分を一言で表すとどんな人?」
(非常に悩んだけど)地層? これまで興味の赴くままにいろいろなことをやってきたので、掘れば掘るほどいろいろ出てくるから。
13:40 :質問3「最近、一番驚いたことはなんですか?」
手話のパフォーマンス講座にて、「耳が聞こえない人に向けて流れる曲を説明してください」と頼まれ、曲の雰囲気を伝えたところ、今度は「もう一度何も聞こえない状態で聞いて説明してください」と頼まれた際に、音楽のジャンル、歌詞のあるなし、男性・女性ボーカルかどうかなど、曲の雰囲気ではなく「情報」が必要だったと気づいたこと。日常的に身につけていた「当たり前」とそれが崩れる瞬間を体験し、ある種のカルチャー・ショックを受けた。
21:08 :質問4「どんな「学びの流儀」を持っていますか?」
何か新しいことを学ぼうとするときは、とりあえず話を聞きに行く。その上で、周りの人に学んでいることを共有して、また別の学びの入り口を教えてもらう。
25:04:質問5「テーマについてどんなことを考えましたか?」
26:14:ゆーみるしー「自分で自分のモチベーションのことについてあんまり分かっていなく、何か刺激を受けて気づいたらものづくりに走っている」
26:44:ゆーみるしー「いろんなことをくっつけるのが得意で、それがなぜかと考えると部屋が散らかっているからなんじゃないかと思っている。」
27:37:ゆーみるしー「創作のきっかけになっているのはイベントに出る、情報を受け取ること。」
27:53:としちる「その人のやりたいことに向かう意図性がモチベーションということを考えると前提になっているように思えるけど、種々雑多なものに出会す中で新しいことを思いつく瞬間が生まれていっているんですね。」
28:52:ゆーみるしー「実感として一年ぐらい経つとその瞬間に生まれた閃きや気持ちが薄れると感じる。」
31:20:ゆーみるしー「後押ししてくれる人が最近は増えて、周りの人たちのおかげで作れているなという気持ちがあります。」
32:19:としちる「一人ではアイディアは出てこないですよね。ものづくりにしても、コミュニケーションにしても相手がいないと成り立たない。」
34:08:ゆーみるしー「『みんなの学会』は分野の垣根も、障害の垣根も越えた研究発表会にできたら良いと考えてそのタイトルは付けている。」
35:50:ゆーみるしー「手話は空間に絵を描くように表現する言語」
37:13:ゆーみるしー「星の作られ方って知ってますか?」
40:26:ゆーみるしー「『みんなの学会』は二部構成になっていて、前半は学生の研究発表、後半に手話パフォーマンスを見せたい。」
41:58:ゆーみるしー「英語を日本語にするのと同じで『意味』が大事になってくるから、手話にするメッセージの本質的な意味をしっかりと抑えていないと表現に落とし込めない。」
42:38:ゆーみるしー「『みんなの学会』と言っているのはみんなにわかりやすい学会を目指そうとしている。」
44:12:としちる「その『やりたい』っていうのはどこから来ているんですかね?」
45:15:ゆーみるしー「頭に描いているものを目に見える形にしたいという欲が強いのかもしれない。」
45:02:としちる「その徒然なるままに取り組む姿勢は一種、『あそび』の本質に近い気がしますね。」
47:40:ゆーみるしー「最初から誰かのためにやりますだと嘘っぽくて、どうしても何かやりたくなるのは私が楽しみたいからだなと思います。」
49:18:としちる「学問というのも何かに役立たせるためにあるわけではなくて、研究者が知りたいと思うことが積み重なってできているというところはある。」