ADC2020サポート記事②記事の書き方、構成の整え方と見直し方

ADVENT CALENDAR 2020では、記事を執筆するにあたっての下記の4つのサポート記事をお届けします。

  1. Web媒体で記事を書く意義とそのスタンス
  2. 記事構成の整え方と見直し方
  3. これまでのADVENT CALENDARのタイプ分類とその記事例
  4. さまざまな問題意識・発見・論点整理とその探求技法

二記事目となる本記事では、記事の書き方のワンポイントアドバイスとして「高校生に語りかけるつもりで書く」ことと、構成の整え方である「構造的に考える・書くこと」や見直し方として「文章を印刷して声に出して読む」ことを紹介します。

書き方:高校生に語りかけるつもりで書く

「ADC 2020サポート記事①Web媒体で記事を書く意義とそのスタンス」では、昨今の情報メディア環境では「Web記事はきちんと読み継がれない」ことを説明しました。それを踏まえた上で、紹介したい記事の書き方の一つが「(専門的なことでも)高校生に語りかけるつもりで書く」です。研究にせよ、活動にせよ、本気で取り組んでいることや日頃学び、考え続けていることは、それを行っていない人にとっては馴染みのない情報です。そんな馴染みのない情報を伝えるにあたって、一つ想定することができるのが「高校生」という読者層です。必ずしも「現実の高校生」に向けて書く必要はありません。ですが、専門的な内容を高校生に向けて説明するとしたら、必然と語り口や選ぶことばが変化するはずです。

また、Web記事を書く上で「伝える情報を絞る・まとめる」ことも重要です。例えば、今回の記事では、「ADVENT CALENDARの参加者に向けて記事を書く・整える・見直す一連の過程を紹介し、参照できるようにする」ことを意識してまとめました。そうした伝えたいことをまとめるために「どんな文脈でいつどこで誰に」向けて書くのかを段階を踏んで書いていくようにしましょう。そうすれば、トピックを絞っても、ADVENT CALENDARが設定する1500字〜3000字の文字数に自然とまとめることができるはずです。

整え方:構造的にステップバイステップで書く

読者層として「高校生」を想定することで、情報の受手に応じてことばやスタイルを調整することができます。さらに、より具体的な記事を整える方法として「見出し&本文」を用いて構造的に書く二つのメリットを紹介します。

第一のメリットが、読者に応じて段階的な文章構造を意識して文章を書けることです。上述したように、「高校生に向けて語る」には、それに応じた知識・情報・思考・経験を段階的に説明していく必要があるはずです。「見出し&本文」を想定することで、段階的に文章を書くことができます。

第二のメリットが、「見出し&本文」として記事構成を整えることは、論文をまとめていくのと近しい執筆方法の練習になることです。「見出し&本文」は論文で言うところの「目次」に当たります。論文では、既存の知識は確認すること程度で、自分が研究で明らかにした新規的発見や課題解決を中心に「その分野の研究者に向けて」論述します。この構造は、「伝えたい情報に焦点を当てて段階的に書き進める」Web記事の特徴とも近しいことが分かるはずです。Web記事を構造的に意識して書くことは、研究論文のような高度な文章を書くにあたっても役立ちます。研究に限らず、文章を構造的に書くことは情報を整理して伝えるための良い訓練になるでしょう。

見直し方:文章を印刷して声に出して読む

最後に、執筆した記事をより練り上げるために役立つ方法として、下書き文章を印刷し、声に出して読むという秘技を伝授いたします。丁寧に文章を書こうとすればするほど、何度も何度も文章を推敲する必要があります。しかし、そうして一度作成した文章を直すのはかえって難しいことがあります。これを仮に「文章メモリー容量オーバー」と名付けましょう。このことを捉えるのに「パソコン」の比喩が役立つからです。パソコンには二つの記憶容量があり、一つはよく知られている単純なデータの保存用量「ストレージ(SDカード、HDD、SSD etc.)」、もう一つが「メモリー」と呼ばれているものです。前者のストレージを「机の引き出し」に例えるとすれば、後者のメモリーは「机の大きさ」に例えましょう。メモリーは、一時的に情報を保管し、処理するための記憶領域です。パソコンで一度表示した情報を素早く処理するために、このメモリーが活用されています。

先ほどあげた「文章メモリー」とは、「文章執筆のために一時的に情報を引き出し、思考するための記憶領域」としましょう。こう捉えることによって、文章を書けば書くほど、徐々にその文章を書き上げるために必要な「情報・思考」に捉われてしまうことが浮かび上がってこないでしょうか。この「文章メモリー容量オーバー」になってしまった時に役立つのが、「文章を印刷して声に出して読む」ことなのです。まず、印刷したものを声に出して読み上げてみてください。文章を声にして読み上げることによって、これまで頭の中で練り上げてきた文章メモリーを外に吐き出すことができるはずです。

また、パソコンのスクリーン上に書きあげた文章を、具体的な印刷物にすることで、異なるメディアに移し替えることができます。そうすることで、気になる箇所にどんどんと書き込みをすることができます。印刷紙にすることで誤字・脱字にも気づきやすくなりますし、文章を俯瞰的に捉えることができるはずです。

さて、ここまで説明しておいてなんですが、このことについてのエビデンスがありません。あくまで「経験上」、この「文章を印刷して声に出して読む」ことが活きていると感じています。向き合う媒体を「デジタル」から「アナログ(特に紙)」に変えることで、文章を書く「編集モード」から文字を認識する「俯瞰・顕微鏡モード」への切り替えがしやすくなるのではないかという仮説がなきにしもあらずなのですが…編集モードでは頭で考えることに意識が向きがちで、俯瞰・顕微鏡モードでは紙の文字を声に出して読むことでその内実(特に、文字そのもの)へと意識を向けやすくなるのかもしれません。繰り返しように、あくまで経験則と憶測の内容です。なので、一つのノウハウとして捉えていただければ幸いです。またこのことに関する研究成果があれば知りたいので情報提供いただけると嬉しいです。

おわりに

記事の書き方から、構成の整え方と見直し方のワンポイントアドバイスをまとめてきました。記事へと文章を練り上げるための初歩的な内容にとどまっているため、もっと詳細な方法を知りたい方もいるかと思います。ADVENT CALENDARを通して、こうした記事執筆に関するさまざまなTipsをまとめあげていきたいと考えています。もし何か、他にも付け足したい情報や方法、あるいは要望があればShare Studyまでご連絡ください。

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