ADC2020サポート記事①Web媒体で記事を書く意義とそのスタンス

ADVENT CALENDAR 2020では、記事を執筆するにあたっての下記の4つのサポート記事をお届けします。

  1. Web媒体で記事を書く意義とそのスタンス
  2. 記事構成の整え方と見直し方
  3. これまでのADVENT CALENDARのタイプ分類とその記事例
  4. さまざまな問題意識・発見・論点整理とその探求技法

一記事目となる本記事では、そもそも記事を「書く」という行為に含まれるプロセスとその意義と、とりわけ「Web媒体」を介して記事を書く際の姿勢を整える方途を情報メディア環境の特徴を踏まえて示していきます。

経験・知識・思考を言語化していくことの意義

普段、何気なく生活しながら当たり前のように身につけている経験・思考は、あまりにも当たり前すぎて、逆に「ことば」にするのが難しいこともあるでしょう。前回、ADVENT CALENDAR 2019のテーマである「日常の視点が思わずゆらぐ学習・活動秘話」は、言い換えれば「自分にとっての当たり前」をことばにすることでした。その「当たり前」には、個人的なものから社会文化的なもの、果ては「時代的なもの」が織り混ざっていると考えられます。日常生活の中で、とりわけその複雑なあり方を意識しない限り、もしくはそれを意識できるような知識を得ない限り、慣習化された経験・思考・技法(当然、知識そのものの作られ方も!)を捉えることは難しいと言えるでしょう。では、その「自分にとっての当たり前」をわざわざ言語化する意義はなんなのでしょうか。ここでは、二つの意義を挙げてます。

一つ目の意義は、文章を書き上げていくプロセスの中でその「当たり前」の穴に気付ける可能性が上がることです。自分にとって慣習化して「当たり前」となってしまった思考・経験は、いざ他者に向かってことばにしてみると上手く表現できないことがあるはずです。そこに自分にとっての発見があります。自分にとって「当たり前」だと思っていたことが、実は「あやふや」なものだと気付くためには、ことばにしてみないと分からないのです。文章を書きながら、ことばとことばのつながり(新旧情報、接続詞、助詞 etc.)を意識していきましょう。そうして、徐々に経験・知識・思考を整理することは、他者に向かって丁寧なことばとして伝達するいわば準備運動なのです。

二つ目の意義は、言語化を繰り返す中で経験・知識・思考を相対化することです。相対化とは、「ある対象を異なる視点から捉える」ことです。日常の出来事や物事だけではなく、自分自身をも相対化することは、異なる考えを持つ人の視点を捉えるために必要な能力の一つです。この相対化する姿勢は、前回のADVENT CALENDARのテーマである「日常の視点が思わずゆらぐ学習・活動秘話」にも含み込まれています。「日常の視点がゆらぐ/学習・活動秘話」と分節して見ると、執筆者にとっての「学習・活動秘話」と読者にとっての「日常の視点がゆらぐ」経験が組み合わさるようになっています。一つ目の意義として執筆者にとっての言語化を挙げたことをより抽象的にすれば、この二つ目の意義として「相対化」することが浮かび上がってくるというわけです。Web記事として「言語化」するプロセスを経験することで、さまざまな視点を「相対化」して捉えるきっかけになれば嬉しく思います。

デジタル情報・環境の特徴とWeb媒体と向き合う姿勢

上述してきた内容は、「経験・知識・思考を言語化」するプロセスに関わる文脈を挙げながらその内実や意義をまとめたものでした。ここでいう「文脈」とは、単に言語コミュニケーションの文脈だけではなく、その行為を行う文脈として「誰がいつどこで何をなぜどのように(5W1H)」も関わっていることを意味します。そこで、ADVENT CALENDARとその記事を書くという行為を取り巻く文脈として「情報メディア環境」の特徴にも着目します。そうすることで、Web媒体を活用することの「意味」やそこで関わる姿勢を練り直す位置づけを浮かび上がらせていきたいと思います。

まず、簡単に「デジタル情報」の特徴について確認してみましょう。デジタル空間は「いつでもどこでも誰もが」思い思いに情報を発信している場です。TwitterやFacebookをはじめとしたSNSを通じて、あるいはブログやそれに類似したサービスを通じて、今や多くの人が気軽に自分のメディアを持つユーザーとなることができます。そんなユーザーから発信される大量の情報が高速でデジタル空間に拡散し、またそれを「誰がどのような状況」で受け取るのかも不確かなのが情報メディア環境の特徴の一つです。さらに言ってしまえば、「Web記事はきちんと読み継がれない」可能性が高いです。特に、「紙の資料や本を丁寧に読む」、「高度な知識・情報を解読する」、「歴史的な時間軸を持ちながら特定の事象を考える」といったことをWeb媒体で行うことは難しいことが容易に想像できます。

実は、ADVENT CALENDARの隠れた狙いの一つが、「歴史的な視点を獲得する機会を作り続けること」にあります。瞬発的な情報、やりとりに飲み込まれすぎず、踏みとどまって考える場所・機会を提供したいと考えています。それを具体的に達成するための一方策として、ADVENT CALENDAR 2020では、「月表(年表)」を作成し、それを参照しながらその一年間の出来事の経緯や、あるいはADVENT CALENDARで書かれてきた記事やそこで行ってきた取り組みを参照する機会を補助することを目指しました。

情報メディア環境において、学問をはじめとした時間をかけてじっくりと取り組む活動をい位置付けるのは難しいとも考えられるのは、上述した通りです。一方で、情報メディア環境には「さまざまな情報(メディア)をリンクさせやすい」という特徴もあります。さまざまな情報(知識・経験・思考・技法 etc.)をリンクさせ、まらそれらを多角的に検討できる可能性がWeb媒体にはあるとも言えそうです。先ほど、情報メディア環境では「ユーザー」となって情報の発受信をすると述べたように、Web媒体では個人的な志向・技法にとどまりがちになってしまう側面があります。一方で、「リンク」する方法を考え、そこで起きているプロセスを「言語化」し、そこで捉えられる「成功例」をある程度は一般化することができれば、具体的に個々の現場(出来事・文脈)と向き合う方法が考えられるかもしれません。すぐにそれが達成できなくとも、そうしたプロセスを生み出す機会を増やしたり、継続的に取り組むことで、活動の実現可能性を高めたり、あるいは批判的に再考するきっかけは生み出すことができそうです。

おわりに

この記事で述べてきたことは、あくまでShare Studyなりの「Web媒体で記事を書く意義とそのスタンス」です。その他にも、考えられることや方法は数多くあることかと思います。ADVENT CALENDARは、さまざまな勉強・活動をしている人々が外に向けて「言語化する機会」として設けました。案外、専門的に学んでいること、身につけていること、考えていることをそうではない人に向けて言語化するのは難しいかと思います。ぜひ、「あっとさせられる」記事を読めること、あるいはそれに繋がる機会となるコミュニケーションを取れることを楽しみにしています。


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