筑波大学国際総合学類──総合・教育大学と文理融合を掲げる環境で覚えた違和感

どもども、つれづれ”ちる”ままに生きたいとしちる@ture_tiru)です。

「代表・編集長・カメラマン・デザイナー・盛り上げ役 etc.」

とすべての役職を僕が担って誕生したのがShare Studyなのです。今ではさまざまな人々が入り乱れるWebメディアへとなってきており、構想段階から徐々に思い描いたメディア像に近づきつつあります。けれど、「いったいそのエネルギーはどこからやってくるのか?」と問われることも多々ありました。単純に言えば、「好きだから」です。

「好きこそものの上手なれ」というのはまさに的を得ていることわざの一つだと思うのですが、続けることこそ、さまざまなものとぶつかる中で洗練化され、より良いものになる重要なポイントでしょう。

しかし、「ぶつかる」と表現したように、人ととのやり取りは、正直、かなりめんどくさいし、時にしんどいと思うことも多くあります。ですが、それでも「Share Studyを続ける上での源泉」があるのです。

それが、僕にとって筑波大学、とりわけ国際総合学類での学生生活でした。

筑波大学二つの顔―「総合大学」と「教育大学」

筑波大学とは、日本の国立大学の一つで、旧帝国大学(7+2校)のちょい下、という位置づけの大学とよく言われます。私立大学では早慶が上位におり、つまり筑波大学は日本の大学において「トップテン」に入っていると言っていいでしょう。

正直、こうした大学のランキングなどはわりとどうでもいいなとよく思います。

筑波大学は1973年に設立され、9学群23学類(学群は学部、学類は学科と同等)、8研究科(専攻は複雑なので割愛)で構成されています。広大なキャンパスの中には、さまざまな学部・学科に研究科が設けられていることからも、「総合大学」と称されます。

筑波大学にはもう一つ、「教育大学」という顔があります。というのも、前身には東京教育大学(さらに前身として東京師範学校)という教員を養成する学校だったものが、「筑波研究学園都市」への移転によって「筑波大学」となったという歴史があるのです。

「総合大学」と「教育大学」に対する懐疑

と、かっこつけて説明しましたが、僕が筑波大学に入学する前にそのようなことは「さらっと聞く」程度のものでしかありませんでした。筑波大学を志望する理由はさまざまでしたが、「総合大学としてさまざまな分野を学べる大学」であったことが最も大きな理由でした((高校生の際に明確に学問分野を意識して入学する生徒は少数という主観的な推測があるのですが、実際、「漠然と興味があるものを学べる学部・学科」を志望する人が多いと室井尚(2015)『文系学部解体』では述べられています。))。

ですが!なんですが!

確かに制度としてはその他の学群・学類の講義を受けることはできますが、卒業するにあたっての単位認定や転学・転類をするのに、僕が大学3年生だった2015年当時は融通の効く仕組みにはなっていませんでした。

さらに、「さまざまな学群・学類の人と交流できる」と期待して参加した筑波大学公認の学生組織「全学学群・学類代表者会議(通称、全代会)」では確かにさまざまな学生と交流するきっかけにはなりましたが、「学際的な勉強や交流が積極的になされている」とはとても言い難いものだったんです。

全代会広報部の長を務める中で全代会が学園闘争などの歴史的な経緯を経て残存していることなどを知ります。

正直、

[voice icon=”https://share-study.net/wp-content/uploads/2018/04/toshitiru2018.jpg” name=”あかちる” type=”r icon_red”]どこが総合大学で教育大学だよ!!![/voice] [voice icon=”https://share-study.net/wp-content/uploads/2018/04/toshitiru2018.jpg” name=”あおちる” type=”l icon_blue”]学問を学ぶ意欲をまともに発露できる環境ではない…[/voice]

などと、暗澹たる思いを抱いていたのが大学2年生から3年生前半でした。

文理融合を掲げる国際総合学類という環境

そんな筑波大学でも僕が所属していたのは社会・国際学群、国際総合学類です。国際総合学類は、主に4つの項目から教育カリキュラムが組まれています。

  1. 国際政治・国際法
  2. 経済学
  3. 文化・社会開発
  4. 情報・環境

マルチディスプリンの教育課程では、「文理融合」が掲げられ、複雑な事象を多元的に分析する能力を養い、「社会問題」や「国際問題」の解決に取り組むことをその特徴としています。

…とまぁ、これは「表向き」の説明で、一学生として過ごした経験から言うと、他の学群・学類からは「キラキラ国際生」と言われることがあります。というのも、基本的に社交的な学生が「目立つ」学類で、国際生同士で縦横とつながる機会が多く、かつ積極的に海外に飛び回って語学留学やインターンにボランティアなど、アクティブに活動する学生が集まりやすいからです。

80人の定員に対し、半数の40名前後は4年で卒業せず、留学や休学を挟み、5年で卒業するパターンも定式化しています。かくいう僕も、大学3年次にタイにて2ヶ月のホームステイをしながら日本語教育のお手伝いをしたり、1学期のみ(5ヶ月)の短期留学もこれまたタイで経験し、5年次で卒業しています。

…と聞こえはいいのですが、いわゆる「グローバル」志向を持った学生が多い中で「学問」がきちんと学ばれるかと言われれば、必ずしもそうではありません。多義にわたる分野が集められていることは、逆に言えば「専門性の低さ」が露呈してしまいます。大学院進学をした学生からは、ストレートに専門分野を学んできた学生との「差を感じる」という声を時たま聞くんです。

筑波大学国際総合学類から生まれた『Share Study』

総合大学、教育大学かつ、「国際系(政治・経済・情報・社会・文化)」を学んだ筑波大学国際総合学類。要領がいいという意味で能力が高く社交的な学生が集まっている環境でした。

一方で、「学問」ということに関しては、「イマイチ自分たちが何を学んできたのか分からない」という、アイデンティティーをめぐる問題意識が学生に芽生えがちです。大学3年次に所属するゼミでの論文執筆を通して、「もっと勉強しておけばよかった…」とか、「研究になんの意味があるの?」とかいった声も時たまあがります。

あと、正直、そもそも学問的な関心を持つ人が少ないという印象もあります。他との比較が一概にできないので、あまり大声で言えるものではないのですが。

そうした環境で学生生活を送る中で立ち上げたのがこの『Share Study』なのです。そんな肝心の僕が所属していたのは「ことばと文化ゼミ」という広く社会文化的なコミュニケーションを研究するゼミです。

次の記事では、Share Studyと社会文化コミュニケーション、とりわけディスコース研究の概要とその関係について紹介しましょう!

◎としちるの実践と研究―筑波大学とShare Study/社会文化を読み解くディスコース研究