としちるの実践と研究―筑波大学とShare Study/社会文化を読み解くディスコース研究

前回の記事では、「筑波大学国際総合学類」の概要や学生生活を送る中での違和感について、Share Studyを立ち上げた代表としちる@ture_tiru)の観点から紹介しました。

本記事では、そんな「筑波大学とShare Study」と専門として学ぶ「ディスコース研究」について、ササッとご紹介しましょう!

実験的かつ継続的なShare Study β

前回の記事で「筑波大学は総合大学なのに学際的交流ができてないじゃん!」という心の叫びを書いたのですが、実は定期的に「勉強しよう!発表の場を設けよう!」という学生自発の活動が繰り返し展開されています。僕が入学したのが2013年で2018年現在、3度目のブームを目の当たりにしているところです。筑波大学でも、「つくば」でも、自発的に「なにか行動を起こそう!」という取り組みはあちこちで起こるように感じています。

さすが、研究学園都市ならぬ、「実験的学園都市」なわけですが、このような環境の中で、僕個人の問題意識から生まれたのがShare Studyなのでした。ですから、Share Studyにおいても、この「つくば」や「研究学園都市」というものから目を背けることはできない、重要なものだと思い、さまざまな形で言及しています。

しかし、僕が最も重視するのは「Share Studyは単なるムーブメントで終わらせない!」ということです。継続し、改善し、意味付けをしていくことに価値を置いています。

そこで、僕は同大学院人文社会科学研究科国際日本研究専攻に進学し、ディスコース研究(社会文化コミュニケーション論)を学びつつ、「大学改革」や「教養」、「自己責任」というワードに着目した研究に取り組んでいるんです。

さまざまなディスコース研究

「ディスコース」は大変やっかいな概念で、多くの研究領域で、さまざまな形で語られてきました。

ざっくり示すと、言語学系では「文脈を考慮に入れた2・3の文やそれ以上の文章のまとまり」という意味での「談話」、人類学/社会学では「談話+テクストの総称と個々の分野における概念や分析」といった意味での「言説」、これら二つのことばに分けると「ディスコース」の中身が理解しやすいでしょう。

哲学の分野や一部の社会学ではあらゆるものを言説に入れた「ディスクール(ハードな言説概念)」と捉え、上記の「談話」や「言説」は「ソフトな言説概念」とする見方もあります。

このように、「ディスコースとはなにか」を考えることじたいが、大きな研究テーマの一つになってしまうのです。下記は暫定的に僕が作成した見取り図です。

「哲学」で言えばフーコーの「ディスクール」、「言語学」で言えば社会言語学や言語人類学の分野で発展してきた「談話分析」、社会学で言えば「知識社会学」「会話分析」、メディア論で言えば「オーディエンス論」「カルチュラル・スタディーズ」などといった分野で、さまざまな角度から部分的に研究されてきたのが「ディスコース」なのです。

他にも、心理学や政治学でも用いられます。

方法論としてのディスコース分析と社会文化研究

上述したように、ひとえに「ディスコース」といっても「なにをどの観点からディスコースを捉えるのか」によって、研究の立場が変わります。しかし、共通しているのは「社会文化的な観点を中心にコミュニケーションを読み解く」という姿勢です。

特に僕が専門としているのが批判的談話研究(Critical Discourse Studies:CDS)言語人類学です。両者に共通しているのは、実際の「コミュニケーション」としてことばのやり取りが交わされたものを調査し、かつ研究者自身の立場を鑑みて分析するというものです。

人文社会科学において、研究の良い・悪いの基準は研究分野や、研究者自身が世界をどのように捉えているのかといった「存在論・認識論・方法論」が重要な観点になります。また、政治学や社会学、教育学では、何かしらの対象(例:「ゆとり教育/世代」ディスコース)を中心に置き、調査的な研究を行うのです。

CDSや言語人類学でもそういった具体的な対象を持つのですが、「方法論」だけでなく、「ことば」そのものや「コミュニケーション」そのものの特質を、社会や文化的な比較を通じて分析することが主な研究となっています。

社会文化コミュニケーションから紐解くことばのイロハ―『Discourse Guides』

そんなディスコース研究を学びつつ、僕が主な研究対象にしているのが「自己責任」や「大学改革」に関するディスコースです。今現在(18年11月)、方法論の勉強と整理をしつつ、具体的な対象を絞って調査を進めております。

社会文化コミュニケーションに関する学問や僕自身の研究を紹介・解説する『Discourse Guides』なるサイトも運営しております。

これまで述べてきたような大学での経験から持ち得た問題意識である「大学改革」に関する研究として、俗に言う「文系学部廃止論争」についての批判的な分析を学会でも発表しました。

より詳しい「ディスコース研究」に関する解説は上記をご覧くださいませ!

これからも、研究をメインで行いつつ、Share StudyとDiscourse Guidesの記事を充実させていきます。ぜひぜひ、あなたの声もお聞かせください。

\人と知のネットワーク化プロジェクト/

ADVENT CALENDARとは、12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つカレンダーを空けるという風習に習って、記事を投稿するイベントとなります。2018年、Share Study初開催!種々雑多な方々による記事、お楽しみください!


ABOUTこの記事をかいた人

としちる

日本サッカー協会に所属するコーチを目指して筑波大学体育専門学群を目指すも、受験前に父親が逃亡して宅浪生活2年間を送った後、国際総合学類に入学。タイにて日本語指導と留学も経験。専門は社会文化コミュニケーション/ディスコース研究。全国47都道府県をめぐり、「これからの大学(学問×地域×教育)を考えるACADEMIC CAMP!」を主催。「教養」をテーマに活動中。