初めまして。神長広樹と申します。筑波大学国際総合学類を2017年夏に卒業し、現在はエストニアのタリン工科大学電子政府学科、修士2年目の学生です。
「電子政府」とは初耳かもしれませんが、マイナンバーカードを軸に行政サービスを電子化することで、国民にとってのサービスの利便性の向上とサービス提供者(公務員など)の内部のマネジメント(データ管理など)を整備することを目指した行政体系のことを言います。政治、法、コミュニケーション、サービスデザイン、暗号技術、ビッグデータ、クラウド、機械学習など複数の分野が関わる挑戦しがいのある学問領域だと思っています。
今回は『Study Talk vol.4 』終えての記事に呼応した内容。ずばり勢い余ってタイトルで大方伝えちゃったことを深化させたいと思います。
“情熱”が溢れる人々のShare
どうでしょう。皆さんの周りに情熱にあふれた人はいますか?あるいはあなた自身、上限を100とするといくつくらいの情熱でしょう?
かく言う私は、平均を50とし、標準偏差を20とすると78くらいです。だいたい上から8%(こちらで計算できます)くらいと思ってください。例えば大学院進学率は社会人を除くと5.5%ですし、じゃんけんで4回連続勝つ確率は引き分けを除くと6.25%ですから、8%という数字はそんなに大したことはありません。平均よりは高いけれどもガチのトップ層には到底及ばない、って感じです。
自分の進路をはっきりと決める前は特に情熱などなかったことを思えば、それでもいいんです。とりあえず分野を決め、色々と学び、手と足を動かす毎に情熱が湧き上がってキターという感じです。起伏はあるものの概ね上昇傾向です。情熱78は通過点です。目指せ100、目指せ情熱大陸です。
ちょいと脱線します。
「ここに水があります。熱湯を注ぐとお湯になりました。」
水を10度、熱湯を100度、お湯を60度くらいに思ってください。そして、今あなたは水をお湯に変えたいと思っているとしましょう。この時60度以上の“何か”無しでは水をお湯に変えることはできません。熱力学第2法則、熱は高温から低温に移動し、その逆は起こらない、です。すっごく論理を飛び越えると、何かを変えようとするには目標以上に大きなエネルギーを必要とする、と言えます。
皆さんは冷めた社会がいいですか?それとも温かい社会がいいですか?
私はちょっとアツいくらいがちょうどいい派です。血気盛んな方が、良くも悪くも、色んな事が起き、退屈せずに面白がれるからです。ちょっとアツいを目指して、温かいくらいですから、やっぱり激アツを望むことにします。
そのためには情熱溢れる人々が必要です。溢れる情熱は伝染するからです。
ただし、情熱の高い人同士の高エネルギー空間というのは危険でもあります。侃侃諤諤(かんかんがくがく)な議論なら良し。時には殴り合い、乱闘が起きることもあるでしょう。でもいいんです。真剣なのですから。そりゃあ、木刀ではなく、真剣同士がやりあったら怪我するのは普通でしょう。でも、社会を変えるだの、未来を切り拓くだの、そのためには真剣でないと無理です。
「鉄は熱いうちに打て」。これこそ真剣を作る方法です。ここでも“熱い”ものが必要なんです。冷める前に、です。「出る杭は打たれる」とありますが、なあに、真剣になるためのプロセスとして有難く打たれようではありませんか。とはいえ、限度がありますから、打ち方がまっすぐでないと感じたら海外に出るのも1つの選択肢です。
“情熱”の糧としてのShare
メインの線路に戻りましょう。
Share Studyは代表の青山曰く「学び合いの文化を熟成する」ことを主眼としています。そして、複眼的に学問世界への入門となることを目指しています。
私はShare Study立ち上げ当初「Wikipediaと何が違うのか?」と批判しました。学問世界の入口なら今も昔もWikipedia(特に出典が比較的しっかりしている英語版)に勝るものはないと思っているからです。ただし2年経た今、自信を持ってこう断言できます。
「Share Studyとはプロアマ問わず、“人”に焦点を当てたメディアである。それゆえ、単なる“知”に留まらず、対話を重視した“人と知のネットワーク”構築を目指している。これが“知のネットワーク”であるWikipediaとの大きな相違である。人は時に間違える。もし、唯一無二の真実というものが存在するならば、対立テーゼ、議論が起きた瞬間に、少なくともどちらか一方は誤りとなる。だけど、その誤りは無価値ではなく、新たなテーゼないし問いというダイナミックな過程の引き金となりうる。その引き金を引き得るのが人であるのだ。」
と。
私の予備校時代、ある講師がこう言いました。
「皆さんは浪人して合格のために藁にもすがる思いでしょうが、私は藁を投げるという行為はしません。代わりに、自力で泳ぐ技術を授けたいと思っております。」
学問世界の入り口を通過したであろう今、仮にその入り口に招待する立場であるとするならば、私も同じ思いです。
ですからタイトルは私の願いです。結局は受け身で教わったことは何も身に付きません。何でもいいので自分の興味関心に従って動いてみてほしい。正確にはしばらくしがみついてほしい。最初はわからないことばかりで苦しいでしょう。最先端に関わる場合は置いておいて、大抵一番難しいのは最初です。でも、こう思ってみてください。
「ただ単に慣れてないだけ」、と。
習うより慣れろ、です。新しい世界へ入る行為は、それまでの自分と違う自分になることですから、大変です。そんな時は、近くのその分野に対し激しい情熱を抱いている人に会い、伝染されてください。もし最初の殻を破ることができたら、そのまま情熱を燃やし続け、進み続けてみてください。
そして、時に立ち止まり、志高くして続く後輩を伝染、導く側に回ってください。
情報の“海”と言われる海原は、藁にしがみついているよりも、自由に泳げ、潜れる方が面白いよ。
この記事が、このShare Studyが君の情熱の糧となることを願って。
“Hello Deep World!”