国際協力は偉いのかー活動を通して振り返る利己/利他の捉え方

「夏休みにカンボジアで学校を建てました。」
「アフリカの子供たちを支援しています。」

このように海外で社会貢献活動をしている人が少なくとも1人はあなたの周りにいるのではないだろうか。あなたはそのような人に出会った時、どのような印象を持つだろうか?

小さいころにテレビで観た途上国で井戸を作る人たちに憧れて、私は国際協力に興味を持った。

そして大学生になり、気が付けば自分が国際協力に取り組む側となっていた。大学4年次には一年間休学をし、NGOのインターンとして 東ティモールという国でコーヒー生産者の支援に携わった。現地では、山奥の集落を周り、コーヒーの品質管理を行ったり、アメリカのコーヒー専門家に向けたプロモーションイベントの企画を行ったりした。しかし、NGOでは裨益者の生活を根本から変えるということに難しさを感じた為、大学卒業後の進路としてバングラデシュの雇用機会創出を目的としたソーシャルビジネスの会社で働くことを決めた。

自分の経歴や国際協力をやっていることを私の周りにいる人たちに話すと、海外まで人助けに行って「すごいな。偉いな。」という感想をもらうことが多い。初めのころは、それを言われる度に誇らしさを感じていた。

しかし、次第に「偉い」と言われと、喜びとも恥ずかしさとも違う、違和感を覚えるようになった。「自分が支援と称してやっていることは偉いと言われる程、良いことなのか。」「偉いことだから、私は国際協力をやっているのだろうか。」そんな疑問を持つようになったのである。

果たして国際協力をするということは「偉い」ことなのか。このエッセイでは、「国際協力をすることは、本当に偉いのか」ということを考察して行こうと思う。「偉い」という抽象的な概念の話にはなるが、最後までお付き合いいただきたい。この文章を通して、国際協力に対する心理的なハードルが下がり、一人でも多くの人に国際協力に関心を持ってもらうことを願う。

ADVENT CALENDAR 2018―21日の投稿

12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つカレンダーを空けるという風習に習って、記事を投稿するイベント、それがADVENT CALENDAR!

国際協力は「偉く」ない

確かに国際協力とは表面的に見れば、わざわざ海外まで赴いて人助けをするという側面がある。それ故に、「偉い」とか「正しいことをしている」という観念を持たれがちだ。

しかし、私は国際協力をするということを
「偉くない」
と思っている。

厳密に言えば、「偉い」と言われる程、貴いものではない。自分が取り組んだことで、人から感謝されたり、その人の生活が変わったりするのはもちろん嬉しいことだ。しかし、だからと言って感謝されるために国際協力をやっている訳ではない。

では何のために国際協力をやるのか?

それは自分の為である。

多くの国際協力に携わる人たちは、自分の為にもなっているからそれに取り組めているのだと思う。

私の場合、東ティモールのコーヒーを広めたいという思いでコーヒーのプロモーションイベントを企画し、結果として国内外から600人の参加者をコーヒーの生産地である小さな村に呼ぶことが出来た。イベント後の村の人たちの達成感に満ちた顔や喜んだ顔を見ることが出来たのは嬉しかった。しかし同時に、言葉も上手く通じない、電気も水もほとんどないような慣れない環境でこのようなことに取り組めたことで、多くのことを学び、自己成長につながった。「東ティモールの人の為に!」と思って始めたら、結果的に自分の為にもなっていたのだ。

「国際協力は人の為ではなく、自分の為」と言ってしまうと、「じゃあそんなもの単なる偽善だ。国際協力は利他的であるべきだ。」と思う人が中にはいるかもしれない。

しかし私は、これからの国際協力やボランティアは、利他であり利己であるべきであると考えている。

これまで支援やボランティアと呼ばれるものは、利他性に重きを置いていた。しかし、それが必ずしも良いとは言えなくなってきている。なぜなら、利他の「してあげるという考え」や「する側からされる側へという一方向の関係」が支援されるものの「支援慣れ」という問題や支援する側とされる側という「立場の格差」を生んできたからだ。そうではなく、これからは利己性にも注目するべきだ。人の役に立ちながら、自分の役にも立つ。自分にもメリットがあると思えば、難しく考えずに支援やボランティアを始めやすいし、持続させやすいのではないだろうか。

国際協力は、「偉くない」し「難しいものでもない」のだ。

国際協力が、一部の意識や民意の高い人たちがやる関わりづらいものとしてではなく、誰でも取り組めるものとして広まってくれたらと願う。

とはいっても、じゃあ国際協力って何から始めたらいいのだろうというのが本音だろう。折しも2019年1月16日水曜日に大阪の梅田で、学生そして社会人で国際協力に取り組む団体が8団体集まり、皆さんの国際協力に対する疑問を聞くことが出来るイベントが開催される。是非興味のある方にはご参加いただきたい。

おわりに

私は、利他主義こそが正義だと思い、国際協力を始めた。それ故に、自分が国際協力だと思ってやっていることが途上国の人々の生活に100%役に立っているのか分からずに苦しんだ時期があった。しかし、国際協力は自分の為でもあると気づき、その後は自分事として、そして楽しく国際協力に取り組めるようになった。今、何の為に国際協力に取り組んでいるのか分からなくなってしまった人には、是非利己の気持ちを持つのは悪いことではないということを知ってもらいたい。

国際協力は誰か特定の人がやるのではなく、皆でやった方がその国の課題解決は早くなる。従って、「利他の気持ちを強く持っている人だけができること」ではなく「誰でも始められること」として広まることで、たくさんの人に国際協力を始めてもらいたいと願っている。

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