地域志向教育(アクティブ・ラーニング)を学生の立場から語る

今回、ご縁で、Share studyにて地域と大学についてのミニ特集記事を書くことになりました。今回はその特集記事を書くことにした背景という名の宣伝を致します。

小林耕野

南国、高知県で勝手気ままにに学問を楽しんでいます。日本酒を飲むのが心から大好きです。土佐の日本酒は辛口でとてもおいしいので是非皆さん一度飲んでください。専門は土壌科学ですが、哲学から生物学まで幅広い事に興味を持っています。どうぞ皆さんよろしくお願いします。

ADVENT CALENDAR 2018―9日の投稿

12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つカレンダーを空けるという風習に習って、記事を投稿するイベント、それがADVENT CALENDAR!

大学と地域との連携が進む背景:アクティブ・ラーニング

まず、大学と地域の連携の流れはますます加速しているということが挙げられます。高知大学では「地域社会の再生・発展に挑戦」を掲げる1高知大学 地域共同学部、HP:2018年12月8日にアクセス地域協動学部が2015年に創設され、宇都宮大学、宮崎大学でも地域の発展を専門にした学部が全国で創設されています2産経ニュース:高知大、4月に「地域協働学部」 国立大学も「地方創生」に開眼、リンク:2018年12月8日にアクセス。これらの地域連携の流れはただ地域を専門とした学部が創設されているだけではありません。他の学部においても地域連携教育と題して地域での教育が行われています。

低年次の教育ではアクティブラーニングを行うという文脈で大学と地域の連携が行われています。私は教育が専門ではないので断定をすることはできませんが、少なくとも私の大学ではそうです。地域創生の文脈だけでなく、受動的な教育から能動的な教育への文脈においてもアクティブラーニングを行う場所として地域連携が推進されていると感じます。受動的な教育から能動的な教育への文脈の例を挙げると平成24年度の中央教育審議会では主体的に学ぶ力の育成のために「学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である」と述べられています3平成24年度 第82回 中央教育審議会:新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)

地域型アクティブ・ラーニング

地域型アクティブ・ラーニングの分類

地域に出て行うアクティブラーニングはどのように行われるのでしょうか?中塚・小田切(2016)は4つのタイプに分類しています。

  1. 交流型:農家や住民とともにイベントを行うタイプ
  2. 価値発見型:地域の新しい価値発見を目指すタイプ
  3. 課題解決実践型:具体的な地域の課題を目指すタイプ
  4. 知識共有型:以前から行われている大学の専門知識を用いて地域課題の解決を行うタイプ(4)

中塚雅也・小田切徳美(2016)『大学地域連携の実態と課題』、農村計画学会誌 Vol. 35、No. 1、2016年6月

私の大学で具体的な例を当てはめてみると、

  • 交流型:地域の農作業、草刈りへの参加
  • 価値発見型:地域の特産品を用いた商品の提案
  • 課題解決実践型:耕作放棄地の解消のための作物作り
  • 知識共有型:地方自治体との共同研究を卒業研究のテーマにする

となります。

地域型アクティブ・ラーニングの問題点

このように大学では地域志向教育に能動的な学習が行われていますが、そこには成果もありながら、問題もあると考えています。とくに①~③において問題があると考えています。①においては学生が楽しんだだけになっている、地域が学生を労働力としてしか見ていない場合がある、②においてはとりあえず大学生に考えてみさせれば新しい発想がでてくるという地域の考えや、学生が自然があるというようなざっくりとした発見をしがちであるということ、③においては学生が時間、労力をかけないと本当の意味での解決は難しいと感じてしまい授業でやることは意味のない事だと感じてしまうこと。上記のように私は地域志向教育の枠組みで行われるアクティブラーニングは様々な課題があると考えています。

しかし、学生が実際の現場に触れる事によって興味関心が掘り起こされることや学内で得た知識を実際の現場で生かすという経験は意味のある事だと思っています。成果、問題を踏まえてどのように発展をさせていくかの議論が大事でしょう。

アクティブ・ラーニングにおける学生からの声の重要性

これら議論において地域でのアクティブラーニングの良い点、悪い点を教員が語るというのはこれまでもあったと思います。しかし、学生が学生の声をもとにして能動的な教育、受講したプログラムについて、地域での能動的な教育について語るというのはなかったと思います。学生がどう感じて、プログラム自体をどのようにしていくべきかを考えているかという声は非常に重要です。なぜならば、学生が主体的に学ぶというのがアクティブラーニングであるからです。

2019年にShare Studyで公開予定として執筆中の記事では高知大学のSUIJI-SLPと呼ばれる約10日ほど地域に入る授業を体験した3人の学生の声をもとにして地域での能動的な学習の成果、課題について考えていきたいと思います。SUIJI-SLPはインドネシアの大学と両国の農山村で一か月ほど行う全国でも非常に珍しい形のプログラムです。ともに地域と大学の関係をに考えていきましょう。執筆頑張ります…!

Writer