チョコレートができるまで③―高カカオチョコレートから得られる健康効果レポート!

チョコレートができるまで

多くの人々を魅了するチョコレート。私自身もこの奥深い食べ物に魅了され、多くの書籍やそれに関わる方々と触れてきました。そこで気づいたことはチョコレートを取り巻く「甘い部分」と「苦い部分」の存在。3回に渡って皆様にチョコレートの奥深さをナビゲートできたらと考えております。チョコレートを学ぶことで、学ぶ楽しさを知るきっかけになれば幸いです。

第3回は、チョコレートを食べることで得られる健康効果についてご案内します。

関連する分野は生化学、医学に薬学まで。チョコレートを切り口にその多様な姿とさまざまな事柄との関わりを見ていきましょう。

フードコーディネーター

茨城県出身。県立広島大学 生物資源開発学科卒。専攻は有機化学および生体情報工学。卒業後は外資系製薬会社にてMR(医薬情報担当者)として7年間勤務。退職後、バンタンキャリアカレッジ フードコーディネーター科に入学し、基礎・応用課程を修了。30-40年前の料理を再現してもらう「古典料理の会」をはじめとしたイベントの企画運営、企業からのご相談を受ける。日本コネスールドショコラ協会 デビュタントディプロマ/J.S.A.ワインエキスパート、ワイン検定講師/紅茶コーディネーター/日本ハラール協会 ハラール管理者

カカオの研究

チョコレートやココアは嗜好品として多くの人に楽しまれていますが、ヒトの身体に良いところはあるのか、日夜研究している方々がいます。

2016年に開催された第21回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでは研究分野の方の発表、そしてチョコレートの市場についてのお話を聞くことができました。

製菓と医薬の両分野に力を入れている企業といえば株式会社 明治(以下明治、と記載)。

2015年に明治が共同研究で発表した内容をメインにチョコレートの成分についてご紹介しましょう。

カカオ・ポリフェノール

2015年に明治と愛知学院大学によって日本人を対象にしたチョコレート摂取による大規模臨床試験が行われました。

実験デザインとして、カカオ・ポリフェノールが多く含まれるカカオ分72%のチョコレートを使用し、4週間毎日1日25g食べ、前後の血圧と脂質や糖の代謝を調べ、生活習慣病改善効果を探索的に評価されました。

チョコレートを毎日食べるなんて、健康に悪くはないのでしょうか……

結果としてはむしろ、血圧の低下、いわゆる「善玉コレステロール」であるHDLコレステロールの上昇が認めらたというのです。

また、ハイカカオのチョコレートを毎日25g摂取しても、体重やBMIへの変化がなかったことも、私たちのチョコレートライフに嬉しい話です。

カカオ・プロテイン

第21回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムにて発表された、チョコレートによる便通改善効果もあります。

前述した大規模臨床試験にて、カカオ・ポリフェノールでは説明できない効果として追加試験が行われました。

便通改善に関し、カカオプロテイン(タンパク質)による「便のかさ増し効果」という異なるアプローチが見つかったとのこと。

また、腸内フローラ内にある有用菌であるフィーカリバクテリウムの占有率が2倍に上昇したという報告も。

大腸がんは日本人のがん罹患率トップ。チョコレートを毎日食べることでがんの予防になるのなら、お手軽でありがたいことです。

ポイントは、高カカオチョコレート

今回ご紹介した研究では72%カカオ成分の含まれるチョコレートが使用されました。

比較対象として使われたホワイトチョコレートでは効果が得られていないことから、カカオ成分の重要性が分かります。

普段食べているものより苦い、と敬遠される方もいるかもしれませんが、苦味にはコクやうま味も感じられます。

70%以上カカオのチョコレートを食べて、より健康的な生活を過ごせたらいいですね。

参考

チョコレート検定
明治チョコレート検定委員会、2018年1月22日、学研プラス
フードコーディネーター
年に一度開催されるチョコレート検定。 初級のスペシャリスト、中上級のエキスパートと二つの資格があります。 公式テキストを読んで、ぜひ挑戦してみませんか?
チョコレートができるまで
  1. カカオの植生からチョコレート製造までの工程
  2. 歴史から眺めるさまざまなチョコレートと人の出会い
  3. 高カカオチョコレートから得られる健康効果レポート!

Writer