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アカデミックインタビュー

専門的な知識や研究内容ではなく、広く学びに携わる・携わった「人」に焦点を当て、どのような経緯を経て今に至るかといったことを探る記事カテゴリー、それが「アカデミックインタビュー」!

第9回は、東京工業大学大学院で研究をしながらTB4Sで社会課題の解決に向けて活動されている平本嶺王さんに

  • 大学院での研究とTB4Sでの活動
  • 学部生時代の活動
  • 行動力の原点

などについてお聞きしていきます。

Profile

平本嶺王さん

専門分野:社会学・社会心理学・行動心理学など
得意なこと:異文化への適合・ポーカーフェイス・三枚おろし
趣味:パン作り・魚料理・糖質制限
学部生時代にやったこと:地球一周留学

主な研究-エンパワーメント

まず、嶺王さんの研究の内容について教えていただけますか?
平本
一言で言うと、「人の心の研究」だね。途上国において「人が精神的自立をする」ということがどのようなメカニズムで起こっているのか、そのメカニズムに従って実際にどの程度起こっているのかを探ってる。つまり、精神的な自立の「メカニズム構築」とその「測定・分析による実証」という研究をしている。
エンパワーメント」というワードが国際開発や教育、看護など様々な分野で使われるようになってきましたよね。それが嶺王さんの研究で言う「精神的自立」という部分にあたるのですか?
平本
​そうだね。エンパワーメントは定義があいまいで人によって違うので、エンパワーメントの定義も大切かな。
エンパワーメント:一般的には、社会のひとりひとりが発展、改革に向けて自律的に活動できるよう必要な力をつけることとされるが、明確には定義づけられていない。企業の経営、看護、国際開発などの分野に用いられることが多い。
ちなみに研究ではどのような定義を?
平本
自分の研究では「長期的な視点」と、「巨視的な視点」の獲得を最終的な目的としている。目先の利益だけでなく、長いスパンで見たときにどう行動するのが一番いいのかを考えて実行できるか(長期的視点)、自分一人の利益だけでなく、村・社会といったコミュニティ全体の利益になることができるか(巨視的視点)。この2つの視点を手に入れて、個人だけでなく、社会全体のコストベネフィットを考えて行動できる力のこと。これが研究でのエンパワーメントの定義。
なるほど。「エンパワーメント」をキーワードに「人の心の研究」をしているというと、学問分野で言えば結構心理学寄りということでしょうか?
平本
というよりは、心理学的なモデルを取り入れて調査をしている感じかな。個人のエンパワーメントは個人の心の動きだったりする。でも、社会全体のエンパワーメントとなると、個々人の関わり合いなどを考えなければいけない。だから社会学寄りともいえるかな。心理学的目線を取り入れた社会学の研究、っていうのが正しい捉え方だね。
つまり、エンパワーメントに至るまでにどういったフェーズがあって、どのようにエンパワーメントが達成されるか、ということについて心理学、社会学の知見を用いて研究をされているということですね。
平本
そうだね。

TB4Sでの活動―ビジネスを通した社会課題解決

大学院での研究のほかに、ご自身が昨年の大学生だった時に仲間と立ち上げた、TB4Sという組織でも精力的に活動をされていますよね。これは一体どういった組織なのですか?
平本
​一言で言うと、学生・若手社会人で構成された団体。ヴィジョンは、社会課題の解決や、社会貢献にビジネスの力を応用していくこと。
ビジネスなら活動の範囲が多岐にわたりますし、今日ではCSRやCSVとしてビジネスが社会課題の解決に一役買っていますよね。具体的にはどういった活動をされているんですか?
CSR:企業の社会的責任のこと。企業がその活動の影響について責任を取る企業行動と解される。近年ではCSVとして、企業と社会が共同で価値を創出する動きが高まっている。
平本
企業のCSRの手伝いとか、内輪の勉強会とかもあるけど、イベントを開催しているっていうのがわかりやすいね。対象の方は、例えば「自分はCSR部門に配属されているけどCSR部門は全然メインビジネスにならない…」といった悩みを持つ若手社会人とか、「将来的にサステナビリティをキーワードにした職に関わりたい!」という方とか。そういった方々と一緒に戦略的にCSRをやっていくためにどうしたらいいのか、CSVとはそもそも何かなどについて勉強会を開催する。

他には実際にCSR部門で働いている方やCSVをガンガン実践している方などに講演をしてもらったり、実際のCSV実践例をイベント参加者自身の基準でランク付けしてみたり、というのがイベント内容になる。

用語整理からケーススタディまで幅広い内容でイベントを開催しているんですね!
平本
​戦略的なCSRをもっとやっていきましょう、っていうところからウチの活動が始まって、それからどんどん派生して、一回もっと大きなイベントを開催した。それがSDGsビジネスに関するイベント。
む、それはどういったものなんですか?
平本
​SDGsを達成するにあたって、ビジネスの力も絡めていくと、もっとはやく達成に向かうだろうし、ボランティア活動を補うものとして仕組み化することによって有効なアプローチを取れるのではないかと。民間部門が社会課題を作り続けているわけにもいかないし、解決に向けては民間部門の力も借りる必要がある。そんなわけで5月末にUNDP Tokyoと12,13の学生団体160人規模でのイベントを開催した。
UNDP:国連開発計画(United Nations Development Programme)
UNDPとの協働はすごいですね!
平本
これまでで一番大きなイベントだったね。ちなみに今はこっちの分野の活動にシフトしてて、メンバーも最初4人だったのが今では数十人ににまでなった。
立ち上げて1年でここまでできるとは、すごい勢いですね…!

学部生時代の活動

大学生活では、ほかに何かされていたんですか?
平本
​大学入学当初は1年間の浪人経験もあって、大学が始まったらみんなに差をつけなければならないって思っていた。全然英語も話せなかったけど、入学後には国際交流サークルに入って、それから数カ月で代表になった。
え、すぐ代表になったんですか!
平本
​そう、今振り返ると自分でも意味が分からない。笑
そのサークルで学長や副学長の前でのプレゼンとか活発に活動をしていくと、知名度もそこそこ上がっていった。で、ある時に「留学プログラムを作ってみないか?」という提案を受けて、そこから留学プログラムの立ち上げにもリーダーとして関わっていった。これが2年生の時。
なるほど、2年生からは国際交流サークル、留学プログラムの立ち上げと二足のわらじで活動をしていったわけですね!ここまででもすごい勢いで活動をされているのがわかります…!
平本
3年生の時はそのプログラムで実際に自分がアメリカに留学した。そこからスウェーデンへの留学、インドネシアでの日本語教員など、合計7,8カ月は海外にいる生活をしていた。
1年の半分以上各国を渡り歩いていたわけですが、そもそもどうして留学をしようと思ったのでしょう?
平本
​学部生時代って授業自体は楽しかったんだけど、自分の将来像が全くイメージできなかったんだよね。自分の所属とか、今まで何をやってきたとか、そういうの一回全部捨て去って、今自分は純粋に何がしたいんだろう?っていうのを考えたいなって思って留学をしたんだ。
留学を通して、実際に純粋に自分がやりたいことって見つかったんですか?
平本
​自分の場合は、政治哲学の分野に興味があるなっていう発見があった。そして、もともと対人コミュニケーションが好きだった。じゃあこの政治哲学とコミュニケーションはどこで重なるのかな?と考えていたら、今の研究テーマにたどり着いた。政治哲学、その中でも国際正義論(貧困の放置は罪なのか?等を扱う)から派生した国際協力の分野で、現地の人の自立を促すコミュニケーションの研究っていいなあと思って。
なるほど、留学での経験が現在の研究のきっかけになっているわけですね。

活動の根底にある「楽しさ」

本当に積極的に様々なアクションを起こしていますよね。ここまでご自身を行動に駆り立てる、根底にあるものって何なのでしょう?
平本
すごくシンプルに言うと、「楽しいから」の一言に落ち着くね。
「これって多分今の自分には出来ないんだろうな」っていうのってあるじゃない?でもそれに敢えてチャレンジする。そしてそれを乗り越える。その乗り越えた瞬間に楽しさを感じるんだよね。だから、目標を達成するまで突き進む、というのは常に意識している。
一見できなそうなことが自分の目標になっていて、目標に向かって突き進む。そしてある時気づいたら目標を達成していて、そこに楽しさを感じる。この「楽しさ」が次のアクションを起こすきっかけにもなるわけですね。
平本
あとは、人が取らない選択肢を敢えて取るのが好きだったりする。新しいコミュニティができたときには積極的に自分を売り込んで、「他のみんなを置き去りにするつもりで突き抜けてやろう!」と思って、いろんな活動をやっているかな。
座右の銘とかはあるんですか?自分を表現するキーワードとか。
平本
あんまり考えたことがないな。笑
強いて言うなら「本音で、本気で」という言葉。トビタテ留学JAPANの事後研修で、プロジェクトマネージャーにその言葉を投げかけられて。カッコよく盛って話すとか、斜に構えてシニカルに振る舞うとかではなくて、本音で本気で取り組んでください、って。この言葉はすごく心に残っているな。
ご自身の今後のヴィジョンはどのような感じなのでしょう?
平本
​ひとまず、今行っているプロジェクトは全力でやりたい。そして、自分に足りないことを身につけるためにいろいろ行動を起こしていくのが今後の目標。とにかく、自分が持っている問題意識を形にできる人になりたいね。

最後に一言

最後にこの記事を見てくださっている方々、特に高校生や大学生に向けて一言お願いします。
平本
まず高校生に向けて。まだ高校生だから、まだ大学生じゃないからとは思わず「やりたいことはやりたいと思ったときにやる」ということ。もう何でも自分で調べられる時代だし、何かをやるのに歳とか関係なくなってきているしね。「リスクがあるから今はやめておこう」っていう気持ちは分かるけど、リスクを取らないリスクっていうのも間違いなくあると思う。
「リスクを取らないリスク」というのは僕も実感が湧きます。大学生に対してはどうでしょう?
平本
いろいろあるんだけど、1つ思うのは「ただ行動しているだけではだめだ」ということ。俺もいろいろ行動しているように見えるけど、実際に周りの人に見えている行動っていうのは、あくまで一部分なんだよね。実際には行動するまでに考える時間がある。
よーく考えた上で、行動する。行動してダメだったら、なぜダメだったのかとか、反省をしっかりとするようにしている。やってみたいからとりあえずやるっていうのはアリなんだけど、行動した後に反省する時間を取るのは大切だと思うよ。
自分がやってきたことを言語化しておくなどして振り返りをするということですね。本日は面白いお話をありがとうございました!!

おすすめの本

平本
自分の研究分野(人の心を扱う+国際協力)となると、少しずれるかもしれないけど「環境倫理がどのように生まれるのか」について書かれたパートが面白い本。2つ目は、ちょっとベタだけどアドラーのこの一冊。選択の自由とかを考える上で自分の考えをうまくまとめてくれていた。最後は「伝え方」や「本音で生きる」という部分に通ずると思う。ちなみに同じトビタテ生の友人の書籍です。

インタビューを終えて

インタビューを通して印象に残ったのは活動に「楽しさ」を感じることの大切さである。

僕は、本来勉強することは苦しいことだと思っている。しかし、何か知識と知識がつながった瞬間にある種の「楽しさ」を感じるからこそ、さらに勉強する意欲が湧くのではないだろうか。

学びへの動機は様々であるが、「楽しさ」を感じることは自らを奮い立たせ勢いづける大切な要素なのだと改めて感じるインタビューだった。


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ABOUTこの記事をかいた人

ひらっち

編集部。もののカタチやバランスに惹かれてしまう気まぐれな大学生。大学1年の夏にアフリカ大陸のマラウイ共和国へ渡航、その経験を原動力に現在は教育学を学ぶ。人と人との考えのシェアを通して、学びの限界を取っ払うことを目指している。